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B2Bデジタルマーケティングの現場から ―― 私の選択、そしてこれから

公開日時:2025/01/19

更新日時:2025/01/19


誰にでも転機というものがあります。私にとって、それは産休・育休を経て復職した32歳のときでした。営業として駆け抜けた20代を経て、デジタルマーケティング部門への異動を経験し、そして今、新たな転機を迎えようとしています。

定番の悩み ―― 決断の狭間で

「昇進についてどう思う?」

この質問を投げかけられるたび、私の中で様々な感情が交錯します。確かに、会社からの期待は理解できます。女性管理職比率の向上は、今や企業にとって重要な経営課題の一つですよ。そして、これまでの実績を評価していただいているという事実は、素直に嬉しく、誇らしく感じます。

しかし同時に、ためらいもあります。管理職として求められる責任の重さ、時間的な制約との折り合い、そして何より、自分にその器があるのかという不安。メリットとデメリットを天秤にかければ、キャリアアップの機会、より大きな裁量、そして後進の育成に関われることは魅力的です。一方で、現場での実務から離れることへの寂しさや、仕事と家庭のバランスの変化への懸念も拭えません。

原点回帰 ―― 20代の情熱を振り返って

ふと、営業として必死に走り回っていた20代を思い出します。顧客の課題に真摯に向き合い、時には徹夜でプレゼン資料を作り、成約の瞬間の喜びを噛みしめた日々。当時は、ただひたすらに目の前の仕事に没頭できました。その純粋な情熱は、今でも私の中に確かに息づいています。

産休・育休を経てデジタルマーケティング部門に異動してからも、その姿勢は変わっていません。むしろ、データとロジックを駆使して戦略を立て、効果を可視化していく過程に、新たなやりがいを見出しています。ただ、以前とは違って、クールというより俯瞰的な視点で物事を見られるようになったことも感じています。

15年後の私へ ―― 理想と現実の間で

子育てをしながら仕事を続けることは、想像以上に挑戦の連続でした。しかし、その経験は私に新たな視座を与えてくれました。時間の使い方、優先順位の付け方、そして何より、仕事における本質的な価値とは何かを考えさせられました。

15年後、子どもたちが独り立ちに近づく頃、私はどんな姿でいられるのでしょうか。単なる役職や肩書きではなく、自分自身のやりがいをどこに見出していくのか。その答えは、意外にも日々の業務の中にヒントがありました。

実は最近、若手社員との対話の機会が増えています。彼女たちの話を聞いていると、私自身が抱いていた不安や希望が重なって見えることがあります。そして、その度に気付かされるのです。これまでの経験は、決して無駄ではなかったこと、そしてそれを共有することにも大きな意味があるのだということを。

そう考えると、後輩たちに伝えたいことが見えてきます。特に、この B2B デジタルマーケティングという領域で、私たちにしかできない価値創造の可能性について。

後輩たちへのメッセージ

B2B領域での可能性

B2Bマーケティングの世界は、確かにロジカルな思考が求められます。しかし、それは決して性別による障壁ではありません。むしろ、多様な視点と経験が、新たな価値を生み出す源泉となっています。私が実感しているのは、B2B領域こそ、多様な経験値が活きる場所だということです。

例えば、私たちの部門では、製造業向けの複雑なソリューションを扱っています。一見すると、技術的な知識や業界経験が全てのように思えるかもしれません。しかし実際には、顧客企業の意思決定プロセスを理解し、その中での様々なステークホルダーの心理を読み解く力が重要になってきます。

営業時代に培った対人折衝のスキル、育児を通じて磨かれたマルチタスクの能力、そして何より、異なる立場の人々への共感力。これらは、デジタルマーケティング戦略を構築する上で、かけがえのない武器となっています。データ分析も、単なる数字の羅列ではありません。その背後にある人々の行動や心理を読み解く想像力が必要です。

特に最近では、B2Bマーケティングにおいても、従来の手法だけでは対応できない変化が起きています。デジタルトランスフォーメーションの波は、企業間取引の在り方そのものを変えつつあります。この変革期には、既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想が求められます。それは、多様なバックグラウンドを持つ人材だからこそ提供できる価値なのです。

実際、私たちのチームでは、様々な経歴を持つメンバーが活躍しています。元エンジニア、コンサルタント出身、そしてマーケティング一筋のキャリアを持つ人など、それぞれが独自の視点を持ち寄ることで、より深い顧客理解と革新的なソリューションが生まれています。

このように、B2B領域は決して無機質なビジネスの世界ではありません。むしろ、人と人とのつながりや、多様な経験が織りなす豊かな価値創造の場なのです。だからこそ、性別や経歴に関係なく、それぞれの個性と経験を活かせる可能性に満ちているのです。

自分らしい道を見つけること

「こうあるべき」という定型的な生き方に縛られる必要はありません。それは、キャリアパスについても同じことが言えます。私は今、その考えに至るまでに様々な葛藤がありました。しかし、その過程自体が、自分自身を深く理解することにつながったと感じています。

振り返れば、20代の営業時代から、育休を経て、そして今のデジタルマーケティングの領域まで、一見バラバラに見える経験が、実は見事に繋がっていました。それぞれの場面で感じた不安や戸惑いも、今となっては貴重な糧となっています。

だからこそ、後輩たちには伝えたいのです。完璧な選択など存在しない。けれど、それぞれの選択には必ず意味があるということを。そして、その選択を楽しむ余裕を持つことの大切さを。

この先も、迷いや不安は付きまとうでしょう。でも、それは誰もが通る道。私は今、新たな挑戦を前に、そう自分に言い聞かせています。そして、これまでの経験を活かしながら、自分らしい形での貢献を模索していきたいと思います。

それは、管理職としてかもしれないし、別の形かもしれません。ただ、確かなのは、この業界で、そして会社で、私にしかできない価値を提供し続けていきたいということ。そんな思いを胸に、明日も一歩を踏み出していこうと思います。

のんびりとコーヒーを頂く女性ビジネスパーソン
こんな形で優雅に過ごす時間は減ってしまいましたが、その分の充実した時間やそこそこ大変だけど未来への思い出の種を日々育てています。

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